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内科の話題

新型コロナウィルス感染症後遺症外来

2023年5月22日現在、確実にコロナ感染者は増えています。

検出されるウイルスはXBB系統であり、当院では、XBB.1.9.1が検出されています。

症状は軽かったり、喉の赤みも典型的でなかったり、発熱がなかったりで、これまでとは様相が少し違います。しかし、味覚障害や物忘れなどの症状は見受けられ、適切なコロナ治療薬の処方が必要と考えています。

<新型コロナ感染症のエッセンス>

1.潜伏期間:4.82日

2.症状の出現日数:

 発熱(平均4.78日) 倦怠感(5.3日)咽頭痛(5.4日)咳嗽(5.7日)

 味覚・嗅覚障害(6.9日) 呼吸困難感(7.1日)

3.症状の発現頻度

 発熱(37℃以上)70.8%  倦怠感 53.2%  咳嗽 43.9%  咽頭痛 40.4%

 頭痛 39.2% 鼻閉・鼻汁 36.8%    味覚・嗅覚障害 34.5% 筋肉痛 29.2%

    下痢 24.0%    呼吸困難感 12.3%    嘔気・嘔吐 8.2%   結膜充血  3.5%

       国立感染研究所のデータより

マスクを着用しよう!

スーパーコンピュータの富岳によると、小さな飛沫を含めると、マウスガードやフェイスシールドは、新型コロナウイルスの飛沫の拡散には余り役に立たない。

テレビではよく見かけ、議員もされていることがあるが、感染を人に移さない、もらわないという観点からは、安心してはいけない。

理研・豊橋技科大・神戸大提供、京都工繊大・大阪大・大王製紙、PCWatchより

<新型コロナ発症と重症化予防>

オノン(鼻炎や喘息の治療薬)が有効(特許情報より)

1日当たりビタミンC 3000mg、ビタミンD3 2000IU、亜鉛 20mgの摂取が有用

(タッチ後、内科の話題をクリックしてください)

新型コロナに関する情報

2020年4月12日(日)以降の情報をピックアップし掲載します

新型コロナ感染症が気になる方は、オンライン診療Curonのチャット機能か、電話でお問い合わせください。すぐに対応できない場合がありますのでご了承ください。

2022年

<日本人の感染割合と重症化率>9月23日(金)

厚生労働省から、9月1日0時の時点での国民の感染者数が報告されました。

1891万7782人、約15%の人口が感染したとのことです。

オミクロン株が流行した2022年3~4月の重症化率と死亡率はそれぞれ以下です。

59歳以下 0.03%、0.01%

60歳以上 1.50%、1.13%

<ブレークスルー感染リスク>2月13日(日)

新型コロナワクチン接種後にブレークスルー感染をきたす症例が散見されます。誰がブレークスルー感染をきたしやすいのか報告がありました。

アメリカからの66万人以上の解析結果によると、2回のワクチンを完全に接種したあとにコロナにかかる割合は1000人にあたりひと月で5名程度でした。また、30歳以上の女性で、感染リスクが30~40%増加するとのことです。

比較的若い世代も含め、3回目の早い接種が望まれます。

https://jamanetwork.com/journals/jamainternalmedicine/fullarticle/2787643

2021年

<新型コロナに対する手洗いとマスクなどの感染予防の効果>12月15日(水)

手洗いやマスク、社会的距離などが、感染予防にどの程度役に立つかの報告がされました。研究方法は、既存の37論文の系統的レビューとメタ解析によるものです。

相対リスク(95%信頼区間)はそれぞれ下記になります。

  • 手洗い:0.47(0.19~1.12)
  • マスク着用:0.47(0.29~0.75)
  • 人との距離:0.75(0.59~0.95)

上記3つは感染防止に友好であり、マスクを着用が最も有効でした。

ただし、マスクも、不織布マスクが最も有効で、布マスクは効果が薄く、

ウレタンマスクはほとんど意味がありません。

https://www.bmj.com/content/375/bmj-2021-068302.long

<最も有効な新型コロナに対する抗体療法は?>10月8日(木)

抗体療法は、新型コロナの画期的な治療として、軽症から中等度のCOVID-19に対して使用されるようになってきました。現在、海外で使用されている抗体療法も含め、4剤が使用可能ですが、どの抗体療法が最も効果があるでしょうか?その答えの一つとなるかもしれない論文は紹介されています。

抗体療法には、1)カシリビマブ/イムデビマブ、2)バムラニビマブ/エテセビマブ、3)バムラニビマブ、4)ソトロビマブ、の4つが世界的使われています。その中で、1)で商品名ロナプリーブhttps://www.bmj.com/content/374/bmj.n2231.longが、最も確実に入院を減少させ、死亡率も低下させるとのことです。

日本では、ロナプリーブで治療がされており、より広く、使用されることを期待します。

<コロナ患者が他者へ最も移しやすい時期>9月20日(火)

デルタ株などが広がり、より感染力が強くなると、いつの時期にコロナ陽性の人からうつるのか心配になると思います。その答えを示す論文が一つ発表されました。

感染した人と、発症前2日から発症後3日目に接触すると、感染のリスクが高くなるとのことです。とくに、発症初日に最も感染リスクが高いことが示されました(相対調整リスク1.3、95%信頼区間1.2~1.5)。また、無症状の感染者よりも、軽症や中等症の感染者と接した場合の方が、それぞれ調整リスクが4.0と4.3になることも示されています。

https://jamanetwork.com/journals/jamainternalmedicine/fullarticle/2783099

<唾液によるPCR検査は推奨できない>8月29日(日)

PCR検査は、新型コロナの確定診断や変異株の同定、ウイルス量の判定など、大変重要な検査です。当院では、鼻咽頭ぬぐい液での検査を推奨していますが、今回、JAMAから、無症候者への唾液によるPCR検査は推奨できないと報告がありました。

404人の、新型コロナと判定された人の家族と濃厚接触した404人のうち、256人(58.9%)が鼻咽頭スワブで陽性、318人(35.7%)が唾液で陽性でした。

症状が強くある場合の唾液の検査は検出感度は比較的高いのですが、病状初期であったり、時間が経過した場合の感度は低いため、安易な唾液によるPCR検査は行うべきではありません。また、唾液の量も充分量が必要なため、よい検体をとるのは難しいと言えるでしょう。

https://jamanetwork.com/journals/jama/fullarticle/2783249

<新型コロナ感染による獲得免疫は1年は続く可能性>6月23日(水)

再感染のリスクは誰もが抱えていると思います。一度新型コロナに罹患すると、コロナに対して免疫が獲得されますが、どの程度続くのかははっきりしていません。今回、イタリアから、獲得免疫は1年間持続するのではないかとの報告がされました。

少なくとも、再感染までには230日以上あるようです。しかしながら、これは新型コロナのワクチン接種をしなくてもよいとの理由にはならないとのことです。変異株の問題が日々クローズアップされていますが、野生型から大きく変改してきている現在では、既感染者もワクチン接種をするべきとの結論のようです。

https://jamanetwork.com/journals/jamainternalmedicine/fullarticle/2780557

<新型コロナ感染による獲得免疫は1年は続く可能性>6月23日(水)

再感染のリスクは誰もが抱えていると思います。一度新型コロナに罹患すると、コロナに対して免疫が獲得されますが、どの程度続くのかははっきりしていません。今回、イタリアから、獲得免疫は1年間持続するのではないかとの報告がされました。

少なくとも、再感染までには230日以上あるようです。しかしながら、これは新型コロナのワクチン接種をしなくてもよいとの理由にはならないとのことです。変異株の問題が日々クローズアップされていますが、野生型から大きく変改してきている現在では、既感染者もワクチン接種をするべきとの結論のようです。

https://jamanetwork.com/journals/jamainternalmedicine/fullarticle/2780557

<新型コロナの感染を増強するやっかいな抗体>6月6日(日)

大阪大学からの報告です。実際に人体で感染の増悪に関与しているかどうかは不明ですが、「感染増強抗体」という抗体が体内に存在し、新型コロナの感染性を高める可能性があることが報告されました。

もともと、デング熱(デングウイルス感染、熱帯地域の風土病でヤブカから媒体される)では、そのウイルスにより抗体依存性感染増強(ADE)が起こることが知られています。新型コロナでも、どうようの減少が認められ、中和抗体のACE2結合阻害能を減弱させ、感染性を高める可能性が示唆されています。とくに、変異株では、中和抗体が効きにくいなどの現象があるため、新たなワクチンの開発が必要かもしれないとのことです。

https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0092867421006620

<新型コロナ後遺症リスクが高い人の特徴>6月6日(日)

新型コロナでは、感染後に一定の割合で後遺症が発症し、長く続く方もおられます。当院では、呼吸器症状、疲労、神経/精神症状、肝機能障害、筋症状をきたしている人が多く見られます。

今回、どのような方に後遺症が起こりやすいのか、論文が発表されました。

19万3113人の感染者のうち、14%の2万7074人が後遺症を呈しています。その解析結果では、下記で後遺症が多いとしています。

1)50歳以上

2)既往症のある人

3)新型コロナで入院した人

なお、18~34歳では、高血圧、不整脈、凝固亢進状態、記憶障害、糖尿病、疲労が多かったとのことです。

https://www.bmj.com/content/373/bmj.n1098.long

<アスピリン服用と新型コロナ感染>5月12日(水)

新型コロナの感染予防にアスピリンが有用である可能性が示唆されています。

アスピリンを内服していることで、新型コロナに感染するリスクが29%低くなること(p=0.041)、また、新型コロナに感染他場合でも、PCR検査が陰性となるまでの期間が、アスピリンを内服していない人が約22日だったのに対して、アスピリン服用者は約20日と有意に短かったとのことです(p=0.045)。

ただし、アスピリン内服による消化性潰瘍や消化管出血、頭蓋内出血などのリスクも伴うため、内服に当たっては慎重な判断が求められます。

https://febs.onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1111/febs.15784

<新型コロナ既往者の勃起不全>5月12日(水)

新型コロナに感染した男性は、勃起不全になりやすいことが報告されました。

年齢、体格指数、心理的健康スコアを調節した後も、勃起不全になりやすい傾向を示すオッズ比は、5.66と有意に高い結果でした。

https://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1111/andr.13003

<新型コロナ既往者の再感染するリスクは減少>5月5日(水)

新型コロナに感染した人が、再感染するリスクは84%減少することが報告されました。

その効果の持続期間の中央値は7ヵ月とのことです。

https://www.thelancet.com/journals/lancet/article/PIIS0140-6736(21)00675-9/fulltext

<新型コロナの後遺症>5月5日(水)

これまでも、新型コロナウイルス感染症では、さまざまな後遺症が発症することが報告されています。とくに、喘息などの肺・呼吸器症状と、心血管系、代謝系、腎臓系、肝臓系に影響を与える肺外機能障害が報告されています。

また、新型コロナで入院した患者は、退院後に死亡および再入院するリスクが高いこともイギリスから報告されました。47780人と一般集団をマッチした形で比較した場合、平均追跡期間140日で、再入院率は約4倍、死亡率は約8倍高かったとのことです。さらに、心血管イベントは3.0倍、慢性肝臓病は2.8倍、慢性腎臓病は1.9倍、糖尿病は1.5倍、診断率が高くなったとのことです。

https://www.bmj.com/content/372/bmj.n693.long

<新型コロナの重症化リスク>5月5日(水)

米国疾病予防管理センター(CDC)は、成人において新型コロナウイルス感染症の重症化リスクとなる疾病・病状リストにいくつかの新しい項目を追加し、まとめています。

・がん
・慢性腎臓病
・慢性肺疾患:慢性閉塞性肺疾患(COPD)、喘息(中等度~重度)、間質性肺疾患、嚢胞性線維症、肺高血圧症など
・認知症またはその他の神経学的疾患
・糖尿病(1型または2型)
・ダウン症
・心臓病(心不全、冠状動脈疾患、心筋症、高血圧など)
・HIV感染
・免疫不全状態(免疫力の低下)
・慢性肝疾患:アルコール性肝疾患、非アルコール性脂肪性肝疾患[NAFLD]、とくに肝硬変、肝線維化など
・過体重と肥満:BMI>25(過体重)、BMI>30(肥満)、BMI>40(重度の肥満)
・妊娠
・鎌状赤血球症またはサラセミアなどの異常ヘモグロビン症
・喫煙(現在または以前)
・臓器または造血幹細胞の移植
・脳卒中または脳血管障害
・薬物依存症(アルコール、オピオイド、コカインの中毒など)

https://www.cdc.gov/coronavirus/2019-ncov/need-extra-precautions/people-with-medical-conditions.html

<消毒剤の使用が喘息発作を誘発する>5月4日(火)

私たちは、新型コロナウイルス感染症の影響で、日頃からこまめに消毒をするようになりました。しかし、書いていないで消毒剤を多用することで、喘息発作が誘発される可能性が示唆されています。

18歳以上、平均年齢44歳の質問紙調査では、週5回以上の消毒剤(除菌シート、除菌スプレー、漂白剤)の使用では、喘息発作が増えていたとのことでした。

消毒剤は適切に使う必要がありますが、揮発性の高いものなどでは、不適切な使用を特にしないように心がける必要があるようです。

https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S2213219820314021?via%3Dihub

<mRNAワクチンは無症候性感染リスクも低下させる>4月4日(日)

ファイザー社などのmRNAワクチンは、COVID-19の発症を抑制し、アメリカでは予防接種が完了した人は国内移動や旅行が特別な検査を必要とせず可能となっています。実際に、発症と重症化を抑え、ワクチン先進国では新規発症が大きく減ってきています。

今回、手術などの目的でPCR検査を受け良い性が判明した無症状の患者を対象に、ファイザー社あるいはモデルナ社のワクチンが、無症状者の陽性率を低下させるか検討されました。

結果は、1回目の接種11日以降、2回目の接種翌日からの陽性率低下が明らかとなりました。

https://academic.oup.com/cid/advance-article/doi/10.1093/cid/ciab229/6167855

<イギリス型変異種の死亡リスク>4月4日(日)

イギリス型の変異種は、感染の威力が従来型に比べ最大で1.7倍高いことがわかっています。日本においても変異種は密かに広がっており、第4波の要因の一つとなっていると考えられます。

今回、イギリスから、イギリス型変異種は、病床稼働率の上昇と死亡率の増加に寄与していることが報告されました。とくに、28日以内の死亡は、ハザード比で1.64と高いとのことです。

感染を広げないことが、日本でも強く求められます。

https://www.bmj.com/content/372/bmj.n579.long

<イベルメクチンの効果>4月4日(日)

ノーベル賞受賞となったイベルメクチンは、COVID-19でも臨床的効果が期待され、世界的には多くの医療機関で使用されています。臨床的知見はこれからだと考えられますが、現時点では、軽症のCOVID-19感染者では、症状の消失に関してとくに改善効果は認められなかったとのことです。

アフリカなどイベルメクチンが使用されている国々からの感染状況の報告が待たれます。

https://jamanetwork.com/journals/jama/fullarticle/2777389

<感染リスクが高くなる行動>3月14日(日)

新型コロナ感染症は、感染者の20%の人が全感染の80%の要因となり、さらに、感染の半数は、無症候性または発症前の患者からの感染と推定されています。

それでは、どのような方の行動パターンが、感染リスクを高くするのでしょうか?

アメリカからの報告では、新型コロナ感染者との接触歴がない方では、以下でした。

1)バーまたはカフェの利用(オッズ比3.88)

2)レストランでの食事(オッズ比2.82)

いずれもマスクを外す環境では、感染がうつりやすいことを意識する必要があるようです。

https://jamanetwork.com/journals/jama/fullarticle/2776937

<過去の喫煙が新型コロナの重症度に関連する>2月28日(日)

日本からの報告です。

新型コロナの重症化リスクでは、現在よりも過去の喫煙の方が重症度と関係していると報告されました。872施設、10853人の解析では、重症度は、男女とも年齢があがるほど高く、男性で重症化リスクが高いと報告されています。また、心疾患、COPD、糖尿病、肥満も重症化リスクが高く、さらに男性では、より強い重症度と過去の喫煙が関係していたとのことです。

https://covid-registry.ncgm.go.jp

<味覚異常以外の口腔内病変>2月28日(日)

新型コロナ感染症では、嗅覚や味覚異常が有名ですが、それ以外の口腔内病変があることがブラジルから報告されています。

口腔粘膜病変では、白斑・紅斑性プラーク、潰瘍、水疱、点状出血、剥離性歯肉炎などがあったとのことです。

一方、味覚障害は38%の人に出現し、味覚減退が35%、味覚消失が24%だったとのことです。

https://journals.sagepub.com/doi/10.1177/0022034520957289?url_ver=Z39.88-2003&rfr_id=ori%3Arid%3Acrossref.org&rfr_dat=cr_pub%3Dpubmed&

<新型コロナの年齢別の感染のしやすさ>2月28日(日)

中国から、20歳未満では、感染はしにくいけれども、一旦感染すると人に移しやすいことが報告されました。対象は、1次感染者29578人、27101世帯、家庭内接触者57581人で、平均潜伏期間を5日、最大感染期間を22日と仮定しています。

60歳以上では感染リスクが最も高く、また、0~1歳児では、2~5歳あるいは6~12歳と比べ感染リスクが高かったと報告されています。

20歳未満は60歳以上よりも他者に感染を広げるリスクは高く、とくに有症状者の方が無症状者より高く、さらに、症状発現前の方が発現後よりも他者に移すリスクが高かったことが報告されています。

高齢者のみならず、乳児での感染リスクが高いことを考えると、保護者へのワクチン接種も優先されるべきだと著者らは述べています。

https://www.thelancet.com/journals/laninf/article/PIIS1473-3099(20)30981-6/fulltext

<ファイザー社の新型コロナウイルスワクチンのアレルギー反応>1月13日(水)

ファイザー社の新型コロナウイルスワクチンの接種は2回の接種が必要です。体験者の話では、1回目の接種の時に、インフルエンザウイルスワクチンのときと同じように注射部位の痛みや腫脹があるが2~3日で消失する。2回目の接種では、注射部位の反応に加え、倦怠感や微熱、いわゆる風邪を引いたときのような症状がでてくることが報告されています。臨床試験の結果では、16~55歳では、2回目の接種後に発熱した割合は16%、倦怠感は59%、頭痛が52%と報告されています。

米国疾病予防管理センター(CDC)の発表によると、初回接種の189万3360人のうち、4393人(0.2%)に有害事象が起きました。そのうち、21人にアナフィラキシーが誘発されましたが、7人にはもともとアナフィラキシーの既往があったとのことでした。注射から15分以内に発症した人が71%と最も多く、19人はエピネフリンによる急性期の治療を受けています。

https://www.cdc.gov/mmwr/volumes/70/wr/mm7002e1.htm?s_cid=mm7002e1_w

https://www.cdc.gov/mmwr/volumes/70/wr/mm7002e1.htm

<ビタミンD欠乏で新型コロナの死亡リスクが4倍になる>1月6日(水)

ビタミンDの血中濃度が維持されていることは、新型コロナウイルス感染症の重症化予防に重要であることは以前から報告されていました。今回、新型コロナで肺炎を合併し入院した患者では、ビタミンDの欠乏が、死亡転機と関係していたことが報告されました。

肺炎で死亡した患者さんのリスクは、1)年齢(81歳 vs 67歳)、2)慢性肺疾患有病率(33% vs 12%)、3)ビタミンD血中濃度(15.2 vs 18.9 ng/mL)が独立して有意に相関しており、糖尿病や冠動脈疾患の存在とは関連していなかったとのことです。とくにビタミンDの欠乏による死亡率は3.9倍高くなるとのことでした。

なお、ビタミンDは、25(OH)Dが20ng/mL未満を欠乏としています。前向き研究が必要ですが、ビタミンDを多く含む食材の摂取やサプリが望まれるかもしれません。

骨粗鬆症などでは、ビタミンDの血中濃度を測定したり、治療でビタミンDの内服をしていただいています。気になる方は、ご相談ください。

https://academic.oup.com/ajcp/advance-article/doi/10.1093/ajcp/aqaa252/6000689

2020年

<変異種は通常型と同じリスク>

現在世界では、100人に1人以上が感染したほど、新型コロナウイルス感染症は広がっています。もとともと2週間に1回程度変異をするといわれるコロナウイルスですが、イギリスなどでおこった変異種は、最大で感染力が1.7倍になることが報告されています。

しかし、イングランド公衆衛生庁から、変異種では、重症化や死亡に関して、現時点ではこれまでと差がないと発表されました。

まずは、日本型の感染に注意しましょう。多くの方が、大声あげる環境下で感染しています。不織布のマスクの着用、距離1m以上、加湿を忘れないことが重要です。

<新型コロナは最初の5日間が大事>

新型コロナウイルスは、発症時~5日目がウイルス量が多く、その間に周辺に移しやすいことが報告されました。また、発症から9日以上では生きたウイルスが検出されることはなかったとのことでした。

したがって、発熱や呼吸苦などの症状が出たら、自己隔離をすることが最も重要であり、他者に移さない気遣いになります。「これくらいなら大丈夫」「たいしたことないと思う」といった自己判断で行動範囲を広げることは大変なリスクです。愛する周辺の方々のために、正しい行動を取りましょう。

https://www.thelancet.com/journals/lanmic/article/PIIS2666-5247(20)30172-5/fulltext

<新型コロナの後遺症、Long-COVID-19>

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)は、症状が長引くことが示唆されています。その点は、インフルエンザとは大きな相違点です。下記に注意が必要なようです。

1)呼吸苦

2)倦怠感

3)咳

4)脱毛

5)関節痛

6)胸部痛

7)味覚・嗅覚障害

https://jamanetwork.com/journals/jama/fullarticle/2768351?guestAccessKey=692a5e20-fdc4-45b2-bdd4-b78dfc4dcd5f&utm_source=silverchair&utm_medium=email&utm_campaign=article_alert-jama&utm_content=olf&utm_term=070920

<新型コロナの永続的な感染の可能性>

ウイルス感染が慢性的に影響を与えることは以前から知られています。EBウイルスやHTELV-1ウイルスは白血病の原因になったり、エンテロウイルスは糖尿病の要因になったりします。今回、イタリアから報告された論文では、新型コロナウイルスが、症状の回復後も体内に残存する可能性が示されました。17%にも及ぶとのことです。とくに、呼吸器症状や咽頭痛や喉頭痛が続いている人、鼻炎が続いている人は、新型コロナが感染している可能性があるとのことです。

ただし、残存したウイルスが、感染力があるのかどうかはわかりません。単にウイルスの断片をPCR検査で検出しているだけかもしれません。

しかしながら、鼻炎、喉の痛みが長く続いている方は、新型コロナに感染していたかどうか、抗体検査を受けていいかもしれません。

https://www.ajpmonline.org/article/S0749-3797(20)30393-7/fulltext

<新型コロナの感染リスクが高い行動>

どのような行動が新型コロナに感染しやすいかシンガポールから報告がありました。

下記の行動が感染リスクを高めるとのことです。

(1)家庭内

・寝室の共有

・既に新型コロナに感染している人との30分以上の会話

(2)家庭外

・既に新型コロナに感染している2人以上の人と接触

・既に新型コロナに感染している人との30分以上の会話

・車の同乗

一方、間接的な接触、一緒に食事をすること、同じトイレの使用は関連がなかったとのことです。

過去の報告通り、お互いの距離を保つこと、長い会話を避けること、同じ空間に長くいないこと、換気を十分すること、マスクをすることが重要です。

https://www.thelancet.com/journals/laninf/article/PIIS1473-3099(20)30833-1/fulltext

<新型コロナの皮膚での生存期間>

京都府立医科大学から、新型コロナウイルスの皮膚での生存期間に関する報告がされました。インフルエンザウイルスよりも約5倍長く生存するため、注意が必要です。

研究結果では、インフルエンザA型ウイルスは皮膚では約1.8時間生存しますが、新型コロナウイルスは約9時間生存したとのことです。80%エタノール消毒では、15秒で不活化したとのことですので、これまで通り正しい洗浄とエタノール消毒が求められます。

https://academic.oup.com/cid/advance-article/doi/10.1093/cid/ciaa1517/5917611

<新型コロナが男性で重症化しやすい理由>

日本においても新型コロナ感染症は、女性に比べ男性で重症化しやすいことが明らかになっています。その理由として、男女の免疫能の差に違いがあることが注目されています。

今回の報告では、男性ではインターロイキン-8やー18など炎症を引き起こす物質サイトカインの量が多く、このサイトカインが感染初期に暴走化し(サイトカインストーム)、重症化するのではないかまとめられています。一方、女性では、T細胞という免疫細胞の活性が高く、ウイルスを除去する作用が強く、男性ではその活性が比較的弱いため、ウイルスも除去しにくい可能性も報告されています。

今回の結果から、男性と女性では、ワクチン接種の回数が異なってくるかもしれません。

https://www.nature.com/articles/s41586-020-2700-3

<川崎病様症状を呈した小児は心機能に注意>

日本では、新型コロナで川崎病の症状を呈する小児は極めて少ないのですが、欧米では、極めてまれな小児発症性多系統炎症症候群を呈する症例が少なからずあり、新型コロナとの関連が示唆されています。川崎病に似た症例では、発熱、寒気、頻脈、消化器症状、発疹、結膜充血などが報告されています。また、40%が黒人の小児でした。

今後日本での発症がどのように報告されるかわかりませんが、ウイルス性疾患では、コロナに限らず心筋障害などきたす場合がまれにあります。いつもと症状が異なる場合は早めに病院を受診しましょう。

https://www.nejm.org/doi/10.1056/NEJMoa2021756?url_ver=Z39.88-2003&rfr_id=ori:rid:crossref.org&rfr_dat=cr_pub%20%200pubmed

<新型コロナの抗体は4ヶ月間は持続する>

アイスランドから、約3万人を対象とした抗体の自然経過に関する報告がされました。

会社が異なる別の抗体検査でともに陽性だった場合に血清抗体価陽性と判断しました。対象者のうち、1797人が新型コロナ感染症から回復し、91.1%が抗体陽性でした。抗体が陽性になった人は、感染後2ヵ月まで上昇し、少なくとも4ヶ月間は維持されていました。

上記から、アイスランドでは、人口の0.9%が感染し、致死率は0.3%だったとのことです。なお、アイスランドでは、新型コロナ感染症と診断された人のうち、PCR検査を受けた人は56%で、14%はPCR陰性の説明陰性で隔離、30%は隔離もPCR検査も受けておらず、44%の人がPCR検査に頼らず新型コロナ感染症と診断されていました。

https://www.nejm.org/doi/10.1056/NEJMoa2026116

<味覚障害と嗅覚障害の発症頻度は人種差がある>

味覚障害や嗅覚障害は、新型コロナ感染症の特徴的所見の一つとされています。実臨床では、それらの症状を示す人は少ない印象でしたが、今回、人種差があることが報告されました。

3万8000人の解析結果では、新型コロナに感染した方が、味覚障害をきたした割合は43.0%、味覚障害をきたした割合は44.6%で、全体で47.4%でした。しかし、白人が54.8%であったのに比べ、アジア人では17.7%であったとのことです。

日本での発症頻度はわかりませんが、全身倦怠感と長引く微熱、軽い咳などの症状が最も多いように個人的には考えています。

https://pubs.acs.org/doi/10.1021/acschemneuro.0c00460

<味覚障害と嗅覚障害の発症頻度は人種差がある>

味覚障害や嗅覚障害は、新型コロナ感染症の特徴的所見の一つとされています。実臨床では、それらの症状を示す人は少ない印象でしたが、今回、人種差があることが報告されました。

3万8000人の解析結果では、新型コロナに感染した方が、味覚障害をきたした割合は43.0%、味覚障害をきたした割合は44.6%で、全体で47.4%でした。しかし、白人が54.8%であったのに比べ、アジア人では17.7%であったとのことです。

日本での発症頻度はわかりませんが、全身倦怠感と長引く微熱、軽い咳などの症状が最も多いように個人的には考えています。

https://pubs.acs.org/doi/10.1021/acschemneuro.0c00460

<降圧薬が新型コロナの重症化予防につながる可能性>

降圧薬は多くの種類がありますが、その中で、ACE阻害薬やARBと呼ばれる降圧薬が最も多く使われている降圧薬の一つで、腎保護作用や心保護作用なども報告されています。

新型コロナ感染症では、コロナの受容体がACEであったことから、それらの降圧薬が新型コロナを重症化させるのではないかとの懸念が当初ありましたが、現在では完全に否定されています。

今回、むしろ、重症化を防ぐ可能性が日本から報告されました。今回、151例が解析されました。酸素を必要とする重症肺炎は、単変量解析では、65歳以上でオッズ比6.65、心血管の既往5.25、糖尿病3.92、高血圧症3.16でしたが、多変量解析では、年齢のみが有意なリスク因子でした。また、ACE阻害薬やARBを服用していた患者さんは、酸素療法が必要になる重症か肺炎の発症に有意差はありませんでしたが、意識障害が優位に少なかったとのことでした。

今回の結果らも、これらの降圧薬は中止すべきではないと考えられます。

https://www.nature.com/articles/s41440-020-00535-8

<新型コロナの変異>

新型コロナウイルスは、これまでも、武漢で発症した野性株、上海で変異したタイプ、グローバルで流行し重症化したタイプなどが報告されています。いずれも重症化に関与し、細胞性免疫有意型か抗体形成型に分かれています。

今回、シンガポールから、重症化しにくい変異株の報告がされました。感染者は、2020年1月22日から3月21日にPCR検査を受けて、その重症度が前向きに検討されています(PROTECT試験)。結果、Δ382変異体は、野性株に比べ、酸素補充療法を要する低酸素症の発症が少ないことが報告されました。

現在、日本で流行している株は報告されていません。

https://www.thelancet.com/journals/lancet/article/PIIS0140-6736(20)31757-8/fulltext

<うがいの真実>

COVID-19に限らず、口腔ケアは大変重要です。

人では、感染には、口腔細菌叢と腸内細菌叢が大きく係わりますが、口腔最近は虫歯や歯周病の原因となり、誤嚥性肺炎などの肺炎リスクにつながります。

ポピドンヨード液だけが効果があるとは言いがたく、常に口腔内をケアすること、うがいをすることはCOVID-19に限らず健康の秘訣です。

糖尿病においても、歯周病が血糖コントロールの悪化を招くともされています。

なお、洗面台を汚して却ってウイルスを広げてしまわないように適切にうがいをすることも大切です。家族のために、自分のために、正しい方法を身につけましょう。

<日本人の新型コロナの死亡例>

今年の2月~5月までに死亡した110例の解析結果が、メディカル・データ・ビジョンから発表されました。高齢者で、糖尿病、高血圧がリスクでした。下記に図を示します。

https://www.mdv.co.jp/press/2020/detail_1374.html

<新型コロナの症状は6つのタイプに分けられる

新型コロナは、6つの症状のグループに分けられることが報告されました。

アメリカ、イギリス、スウェーデンの1047人の感染者の解析によると

1)発熱を伴わないインフルエンザ様症状:頭痛、嗅覚障害、筋肉痛、咳、咽頭痛、胸痛

2)発熱を伴うインフルエンザ様症状:頭痛、嗅覚障害、咳、咽頭痛、嗄声、食思不振

3)消化器症状あり、咳なし:頭痛、嗅覚障害、食思不振、下痢、咽頭痛、胸痛

4)重症度1(倦怠感):頭痛、嗅覚障害、咳、発熱、嗄声、胸痛

5)重症度2(錯乱):頭痛、嗅覚障害、食思不振、咳、発熱、嗄声、咽頭痛、胸痛、倦怠感、筋肉痛

6)重症度3(腹部・消化器症状):頭痛、嗅覚障害、食思不振、咳、初音酢、嗄声、咽頭痛、胸痛、倦怠感、錯乱、筋肉痛、息切れ、下痢、腹痛

それぞれ、呼吸補助を必要とした割合は、1.5%、4.4%、3.7%、8.6%、9.9%、19.8%でした。

https://www.medrxiv.org/content/10.1101/2020.06.12.20129056v1

<新型コロナとインフルエンザの共存

インフルエンザの季節を迎えると気になるのが新型コロナとの関係です。

インフルエンザと新型コロナの混合感染は、少ない割合で4.3%、多い割合では49.5%と報告されています。いずれにせよ、二つのウイルスに感染することは重体な病態になることが想像されます。

日本感染症学会では、下記のように相違を発表しています。参考にしてください。

<新型コロナの日本人の特徴

日本人におけるデータは少ないが、今回、COVIREGI-JPの途中経過が発表されました。

軽症者の症状は、頭痛、味覚障害、嗅覚障害を訴える場合が多かった。

入院時の症状は、37.5℃以上の発熱、咳、倦怠感、呼吸困難感が多かった。

併存疾患は、軽症糖尿病14.2%、脂質異常症8.2%、脳血管障害5.5%だった。

58.3%が、2週間以内に新型コロナ陽性例や疑い例と濃厚接触があった。

男性では喫煙例で、また60歳以降で重症化しやすかった。

https://covid-registry.ncgm.go.jp

<小児と新型コロナウイルス量

小児は大人に比べ新型コロナ感染症は軽症です。しかし、5歳未満の小児では、症状が軽くてもウイルス量が多く、成人の10~100倍に達するとの報告がされています。

したがって、軽い風邪症状でも公衆衛生の観点からは、子供同士の接触控えたり、大人への接触を控えることが求められます。とくに、将来は、小さなお子さんも新型コロナのワクチン接種の対象になるかもしれません。

https://jamanetwork.com/journals/jamapediatrics/fullarticle/2768952

<新型コロナとプロトンポンプ阻害剤

プロトンポンプ阻害剤(PPI)は最も使われている胃潰瘍や十二指腸潰瘍、逆流性食道炎の治療薬です。PPIは大変効果が高く、長年処方されていることも多く、また、ピロリ菌の除菌には欠かせない薬剤です。しかし、漫然と長期で続けることは、認知症のリスクを高める可能性が報告されたり、骨折や慢性腎臓病、感染性胃腸炎との関連性が報告されるなど見直しが必要になっています。

今回、PPIを内服している方は新型コロナの感染リスクが高くなることが報告されました。53130人の解析結果では、1日1回の服用で、服用していない方とクタベテオッズ比は2.15、1日2回の服用ではオッズ比3.67と、リスク上昇が認められました。一方、H2ブロッカーと呼ばれる同系統の治療薬では、新型コロナリスクは上昇しなかったとのことです。

https://journals.lww.com/ajg/Documents/AJG-20-1811_R1(PUBLISH%20AS%20WEBPART).pdf

<新型コロナ患者の予後

新型コロナでは、通常のコロナと異なり重症化が問題です。これまで、欧米とアジアからの論文報告では、10150例のICU患者の転帰が報告されています。

これまでは、ICU退出時の死亡率は41.6%と報告され、欧米とアジアでとくに大きな違いはないとのことです。しかしながら、3月には死亡率が50%であったのが、5月には40%に低下しているとのことです。

https://onlinelibrary.wiley.com/doi/full/10.1111/anae.15201

<新型コロナ感染危険度

アメリカテキサス州医師会が、日々の活動と新型コロナ感染リスク罹患危険度との関係を10段階評価で一覧表にして発表しています。日本の生活とは異なる点もあると思いますが、参考にして、感染リスク低減に努めましょう。

過去にも記載しましたが、距離は1m以上、マスクの着用がとくに重要です。手洗いなど通常の感染対策も継続しましょう。

<新型コロナの味覚・嗅覚異常の特徴

新型コロナでは、嗅覚や味覚の異常が特徴的とされています。とくに、嗅覚異常はPCR検査陽性の方に多く見受けられているようです。

今回の報告では、新型コロナが回復しても、約1割の方に、嗅覚や味覚の異常は1~2ヵ月続くとのことでした。

https://jamanetwork.com/journals/jamaotolaryngology/article-abstract/2767781

<新型コロナの皮膚所見

新型コロナでは、特徴的は皮膚症状が認められるとの報告があります。716例の新型コロナ感染症または疑いの症例では、麻疹様22%、ペルニオ様18%、じんま疹16%、黄斑紅斑13%などと報告されています。

https://www.jaad.org/article/S0190-9622(20)32126-5/pdf

<新型コロナの後遺症

新型コロナの感染が再び広がっていますが、その一方で後遺症に関する報告がされています。イタリアでは、新型コロナでも強く変化したG型が猛威を振るいました。そのイタリアから、新型コロナ発症2ヵ月後の症状が報告されました。

114例の症例数、平均年齢は56.5歳、男性が63%でした。全症例の中で、2ヵ月後の時点において、87.4%の方が何らかの症状を有していました。主な症状は、53.1%に倦怠感、43.4%に呼吸困難感、27.3%に関節痛、21.7%に胸痛が認められるという結果でした。その他、咳、嗅覚異常、ドライアイ、ドライマウス、鼻炎、目の充血などがありました。

日本での正式な報告はありませんが、今後の解析が望まれます。

https://jamanetwork.com/journals/jama/fullarticle/2768351

<新型コロナ消毒の間違い

アメリカでは、3人に1人が消毒方法を間違えているとの報告がありました。

主な間違いは、食品に漂白剤をつかったり、皮膚に家庭用洗剤や消毒液を使用したり、洗剤を消毒液の吸入や摂取をしてしまったりすることでした。

漂白剤にお酢を混ぜたりアンモニアを混合してはいけません。

食品に漂白剤は使ってはいけません。

また、洗剤や消毒薬の上記を吸入したり、希釈した漂白剤や石けん水でうがいをすることもしていはいけません。

<新型コロナが流行しやすい気候条件

50都市での感染状況を調査した結果、新型コロナウイルスが流行する気候条件が示唆されました。東京も解析対象に含まれています。

北緯30~50°の帯状範囲が主で、平均気温は5~11℃、低比湿(3-6g/kg)、低絶対湿度(4-7g/m3)の点が一致していました。

京都は北緯35°、平均気温5~11℃の季節は12月~3月、低絶対湿度は11月~4月頃です。

https://jamanetwork.com/journals/jamanetworkopen/fullarticle/2767010

名古屋工業大学からは、人口密度と気温・絶対湿度が流行に影響すると報告されています。高温多湿の条件になる患者数は減少する傾向にあるとのことです。

https://www.nitech.ac.jp/news/press/2020/8366.html

絶対湿度が10を超える6月~9月、最高気温が20℃を超える5月~10月は、流行が終息する可能性が高いかもしれません。

<新型コロナの感染リスクを減らすには、距離1m、マスク着用、保護めがねの着用が有用

これまで発表された多くの論文を元に、系統的レビューとメタ解析を行い、新型コロナ感染リスクを減少させる方法が発表されました。16カ国、172の研究、患者数25697例の解析結果です。

感染リスクは、さまざまに補正後、お互いの距離が1m以上でオッズ比0.18(群間リスク差-10.2%、中等度の確実性)、マスクの使用でオッズ比0.15(群間リスク差-14.3%、低度の確実性)、保護めがねの使用でオッズ比0.22(群間リスク差-10.6%、低度の確実性)となりました。

今回の報告からは、お互いの距離を保つことが重要なことが示されました。マスクに関しては、サージカルマスクよりもN95マスクの感染予防効果が強かったようですが、現実的には日常生活では使う必要はありません。https://www.thelancet.com/pdfs/journals/lancet/PIIS0140-6736(20)31142-9.pdf

<子供の新型コロナの特徴

中国からの報告です。

生後10カ月から18歳(中央値10歳)までの、新型コロナウイルスに感染した30例の臨床的特徴が報告されました。臨床症状では、16例(53.3%)に発熱が認められましたが、咳があったのは8例(26.7%)でした。白血球数の中央値は6600ででした。また、胸部のCT検査で異常所見が認められたのは7例(23%)に留まり、残りの23例(77%)にはCTの異常所見が認められませんでした。さらに、診断時無症状だった症例は9例(30%)あったとのことです。

米国放射線学会や日本放射線科専門医会では、新型コロナ感染症のスクリーニングとして、胸部CT検査を推奨していません。

https://www.ajronline.org/doi/10.2214/AJR.20.23145

<新型コロナ感染と環境因子・食品・昆虫との関係

新型コロナウイルスと環境因子に関してまとめられた論文を紹介します。

物の表面に関しては、滑らかな方がざらざらしているより抵抗が高く、

高温と日光はウイルスの破壊を促進し、表面の温度が1℃あがると0.86%感染症が減少します。

下水道には新型コロナウイルスが検出されますが、汚物や感染した水からうつる証拠はありません。

食品やパッケージ食品、食品取扱業者は感染源となりません。

バイオエアロゾルからの感染は報告されていますので、2mの距離を取ることが大切です。

昆虫に関しては、蚊を含め、吸血昆虫からの感染は報告されていません。

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC7226715

<ビタミンDの血中濃度が高いと感染と重症化を予防できる

新型コロナウイルスの発症予防や重症化予防にビタミンDの血中濃度が高いことが重要である可能性が報告されていましたが、今回、その可能性を指示する論文がさらに報告されました。

欧州20カ国による平均ビタミンDの価と新型コロナ感染症との関連を調べた結果、ビタミンDの血中濃度が高い国ほど、新型コロナの罹患率と死亡率が低かったとのことでした。

ビタミンDの効果を得るには、日頃から摂取を高めて置くことが重要です。

必ずしもサプリメントを摂る必要はなく、1日10~15分日光を浴びることが大切です。また、脂質の多い魚(カツオ・アンコウ・紅サケ・ヒラメ・ウナギ・サンマ)、乳製品や栄養強化したシリアル、チーズ、卵黄、牛レバー、きのこ(きくらべ・干しシイタケ)などの摂取を心がけましょう。

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC7202265

<新型コロナウイルスに有効な界面活性剤

独立行政法人「製品評価技術基盤機構」が、新型コロナウイルスに有効な界面活性剤(洗剤)を公表しました。

・直鎖アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム(0.1%以上)

・アルキルグリコシド(0.1%以上)

・アルキルアミンオキシド(0.05%以上)

・塩化ベンザルコニウム(0.05%以上)

・塩化ベンゼトニウム(0.05%以上)

・塩化ジアルキルジメチルアンモニウム(0.01%以上)

・ポリオキシエチレンアルキルエーテル(0.2%以上)

製品一覧は随時公表中とのことです。ご覧ください。

https://www.nite.go.jp/data/000109226.pdf

 いずれも住宅や家具の洗剤用で、手指用ではありませんので皮膚絵の使用は控えましょう。https://www.meti.go.jp/press/2020/05/20200529005/20200529005-2.pdf

なお、市販の「次亜塩素酸水」は効果がなく、むしろ空間噴霧による健康被害が報告されています。https://www.meti.go.jp/press/2020/05/20200529005/20200529005-3.pdf

「次亜塩素酸水」と「次亜塩素ナトリウム(ハイター®・カビキラー®など)」とは、名前は似ていますが、性質は異なります。

新型コロナ通信でも、過去には二酸化塩素による除菌が無効であることも記載しています(下記、あるいは、リンクをご覧ください)。http://www.kokusen.go.jp/pdf/n-20101111_1.pdf (国民生活センター・無効な製品一覧がご覧になれます) https://www.fda.gov/news-events/press-announcements/coronavirus-covid-19-update-fda-warns-seller-marketing-dangerous-chlorine-dioxide-products-claim (FDAの警告)

<ネコからネコに新型コロナウイルスは感染する

ネコからネコに新型コロナウイルスが感染することが報告されました。感染したネコは、今回の実験では発症はしなかったとのことです。

したがって、ネコは発症することなく周囲のネコやヒトに感染させる危険性があります。さらに、ヒトも、ネコや、トラ、ライオンに感染させたことが報告されています。

なお、イヌ、ブタ、ニワトリ、アヒルの感染性は低いようですが、フェレットは感染する可能性が高いとのことです。

https://www.nejm.org/doi/10.1056/NEJMc2013400

https://science.sciencemag.org/content/368/6494/1016

<2歳未満のマスクは不要

日本症に開会は、「2歳未満のマスクは不要」とインターネット上で公開しました。米国小児科学会も同様に、2歳未満のマスクの着用は危険と警告しています。理由は、乳児は気道が狭く肺機能も未発達なため、窒息や熱中症のリスクが高まるからです。また、 新型コロナの感染に関しても、世界的に子供の感染例は少なく、さらに重症例は極めて少ないため、2歳以下ではマスクの着用が必要とは考えられていません。

一方、2歳以上に関しては、子供他人と接触するような外出をする場合は、米疾病対策センターはマスクの着用を勧めています。

https://www.jpa-web.org/dcms_media/other/2saimimann_20200525.pdf

https://services.aap.org/en/pages/2019-novel-coronavirus-covid-19-infections/masks-and-children-during-covid-19

<BCG摂取歴は新型コロナ感染に影響しない

日本においても、BCG接種が新型コロナ感染の発症や重症化予防に役立つのではないかと議論されています。しかし、実際にはBCGの効果はないかもしれません。

イスラエルから、その疑問に対する結果が報告されました。イスラエルでは、1982年まで新生児に対してBCG接種を行っていましたが、1982年以降は結核流行地からの移住者に限定されています。2020年3月1日から4月5日の期間で、新型コロナ感染症が疑われる全症例に対してRT-PCR検査を実施し、検査陽性となった割合を比較しました。BCG接種を受けた人の年齢は39~41歳(平均40歳)、受けてない人の年齢は35~37歳(平均35歳)で、合計7万2060件でした。結果は、新型コロナのPCRが陽性となった割合は、BCG接種群で11.7%、非接種群で10.4%であり、有意差は認められませんでした。なお、人工呼吸器を装着した重症例は各群1例であり、死亡例はありませんでした。

https://jamanetwork.com/journals/jama/fullarticle/2766182

<集団免疫はすでに獲得できている

上久保靖彦先生らによる興味深い研究成果が発表されました。

新型コロナウイルスは、3つの種類、S型K 型G型に分けられ、感染力と毒性がその順番で強くなります。S型は、感染力が弱く、その分細胞性免疫の活性化も弱く、他の型の新型コロナウイルス感染を予防することができません。K型には、感染力はS型よりも強くなりますが、細胞性免疫は強くなり、他の型に対する感染予防能力があります。ただし、S型とK型の感染で出現する抗体は中和抗体ではなく、感染を防ぐ作用はありません。一方、G型は、最も感染力が強く、毒性も強く、重症化します。

S型は、昨年10月から世界に広がり始めていました。その後、1月13日頃からK型が広がり始め、やや遅れてG型が世界に広がりました。1月23日に武漢が封鎖され、イタリアは2月1日に、アメリカは2月2日に中国との往来を制限しました。一方、日本が入国制限したのは3月9日であり、それまでに中国から184万人が訪日しました。日本では、K型が広がる時間があった一方で、欧米では、K型が広がることなく、すぐにG型が広がってしまいました。K型に感染した日本人は、ワクチンを接種したときと同様の効果である細胞性免疫を獲得することができました。そのため、G型の新型コロナに感染したとしても、発症しないか重症化しません。4月~5月にかけて感染者が増加しましたが、それは欧米からも持ち込まれたG型が一時的に非感染者で広がった第2波と考えられています。

また、新型コロナウイルスに対する抗体を有する人は1~3%などと報告されていますが、客観的な解析結果では85%にもなるとのことで、上久保教授らによる客観的な解析結果からも、日本人ではすでに集団免疫が獲得できているようです。

われわれ臨床医の感覚としても、昨年末から2月にかけて、インフルエンザでもなく、他の風邪でもなく、不思議な風邪が流行っていると感じていました。実際、長く体調が悪く、アレルギーのようでそうでもない症状があった人も多かったのではないかと思います。

もちろん、100%の人が感染したわけではないので、今後も、慎重な対応が求められます。新型コロナに限らず、インフルエンザにしても、ノロウイルスにしても、感染予防をしっかり行うことが重要です。

https://www.cambridge.org/engage/coe/article-details/5ead2b518d7bf7001951c5a5

https://www.medrxiv.org/content/10.1101/2020.03.25.20043679v1

<新型コロナの差別や偏見

どうぞ、お願いです。

新型コロナに感染した方、対応している皆さんに差別や偏見をもたないでください。

感染したと噂のあった人を差別し、その治療に当たった人のお子さんに「学校にはこさせないで!」と苦情をいう。

今度は、外国から帰国した人を、ばい菌扱いする。

そして、私たちは、他の国の人達から、新型コロナの広がってる国として差別される。

すべての人がかかりうる感染症。皆で力を結集して立ち向かわなければ克服できない感染症。今こそ、ラグビーワールドカップの、「One for all, all for one」

日本語訳はいくるかある。

「一人は皆のために、皆は一人のために」

「一人は皆のために、皆は勝利のために」

「一人は皆のために、皆は一つの目的のために」

目的はただ一つ、新型コロナを克服、勝利すること。私たちは、その目的にあったように行動できているか、今こそ自問自答し行動すべきでしょう。

https://www.nature.com/articles/d41586-020-01009-0

https://www.who.int/docs/default-source/coronaviruse/covid19-stigma-guide.pdf#search=’WHO+guidelines+stigma’

<新型コロナの多彩な症状・所見

通常の風邪症状や肺炎の症状に加え、嗅覚や味覚の異常などさまざまな所見が報告されています。下記に他の症状・所見を列挙します。

  1. しもやけのような症状「コロナのつま先」
  2. 脳卒中(4.9%と報告)
  3. 発疹
  4. 川崎病症状(日本では認められていない)

https://www.bbc.com/news/health-52493574

http://www.ncvc.go.jp/pr/release/20200507_press.html

https://hosppeds.aappublications.org/content/hosppeds/early/2020/04/06/hpeds.2020-0123.full.pdf

ただし、85.6%に発熱、65.7%に咳、42.4%に倦怠感、21.4%に呼吸困難が出現します。

https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S138665322030113X

<二酸化塩素製品に効果なし

HealthyDay News、m3.comからの引用です。

米食品医薬局(FDA) は、二酸化塩素製品は新型コロナ感染症に効果がないと、販売会社に警告書を送付しました。

二酸化塩素製品は、新型コロナだけでなく、インフルエンザや肝炎、エイズなど、さまざまな疾患で効果はないとのことです。とくに、小児には、健康被害が生じる危険性があり問題とされています。主な副作用は、メトヘモグロビン血症、QT延長、脱水症、脱水による生命を脅かす低血圧、急性肝不全、輸血を必要とする溶血性貧血、重度の嘔吐や下痢が報告されています。

https://www.fda.gov/news-events/press-announcements/coronavirus-covid-19-update-fda-warns-seller-marketing-dangerous-chlorine-dioxide-products-claim

<新型コロナは便にも注意

中国からの報告です。新型コロナ感染症で入院した96名を対象に、喀痰・唾液(呼吸器)、血清、便、尿の新型コロナウイルス量を60日以上に亘って測定しました。総検体数は3497でした。

新型コロナは、呼吸器献体には100%、便には59%、血清には41%検出されました。尿は67例中1例のみでした。ウイルスが検出できた期間の中央値は、便で22日、呼吸器で18日、血清で16日で、便で最も長くなっていました。しかし、症例によってはいずれの検体も60日以上検出されていました。

軽症と重症では、呼吸器検体は重症例でウイルス量が多い結果でしたが、便や血清は重症度に有意差が認められませんでした。また、便中には、重症例では女性より男性で、年齢では60歳より高齢で、ウイルス量が多い結果でした。

病院だけでなく、自宅でもトイレの清掃に注意する必要があるようです。

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC7190077

<新型コロナで入院した人の特徴>

ニューヨークの12の病院に入院した新型コロナ感染症者5700例の特徴が報告されました。

年齢の中央値は63歳、男性が60.3%で、高血圧の合併が56.6%、肥満(BMI30以上)が41.7%、糖尿病が33.8%でした。

入院時の所見は、体温の中央値は37.5℃で38℃以上の発熱者が30.7%、酸素飽和度の中央値が95%で90%未満が20.4%、呼吸数24回/分以上が17.3%、脈拍数の中央値は97回/分で100以上が43.1%でした。

検査所見は、白血球数は7000(5200~9500)(好中球数約75.7%、リンパ球数12.6%、リンパ球数1000未満が60%)、CRP13.0mg/dL(6.4~26.9)で、52.4%にエンテロ/ライノウイルス、16.7%に通常のコロナウイルスの混合感染が認められました。

https://jamanetwork.com/journals/jama/fullarticle/2765184

必ずしも日本人とは体格などが異なりますが、白血球数に比してCRP高値が所見として目立ちます。必ずしも高熱ではないものの、酸素飽和度が低く、脈拍数が上昇し、CRP高値の場合は、入院が必要になります。また、他のウイルスも混合感染しており、下痢や鼻水などきたすと考えられます。侵襲的機械的人工換気(ECMO)を受けた方は12.2%ですが、死亡率は88.1%と報告されています。

<新型コロナの特徴>

ケアネットとm3.comのレポートによると、下記の2つが特徴といえそうです。

1.長引く風邪

2.味覚または嗅覚の異常

国立国際医療研究センターからの報告では、「長引く風邪症状」がキーワードとのことです。通常の風邪なら数日から長くて1週間ですが、それ以上続く風邪は、新型コロナ感染症を疑う必要がありそうです。初めてかかる風邪は、体からウイルスが排泄されるまでに2週間以上かかるとのことです。

また、イタリアからの報告(JAMA)では、軽症のCOVID-19では、64.4%に、嗅覚か味覚の異常を訴えたとのことです。また、その中で、鼻閉も訴えた割合は34.6%でした。とくに、女性で多かったとのことです(女性:男性=72.4%:55.7%)

https://jamanetwork.com/journals/jama/fullarticle/2765183

これまでは、34%が嗅覚や味覚の異常を訴えていたとの報告があります。https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/32215618/

下記に示すように、鼻腔の細胞には新型コロナウイルスの受容体が最も多く発現することから、嗅覚や味覚に異常があり(一般の風邪でも起こります)、その後数日経っても風邪が一向によくならないときは、新型コロナ感染症を疑っても良さそうです。

<新型コロナに対する薬剤・成分の候補>

必ずしも査読を受けた論文ではありませんが、日本で臨床試験が進んでいる薬剤以外にも下記の薬剤や成分や、COVD-19に有用である可能性が報告されています。臨床的に確認はできておらず、論理的観点からですが、お知らせします。

なお、当院では、プランルカスト(オノン)を中心に処方を検討しています。

https://www.preprints.org/manuscript/202003.0286/v1

https://www.scilit.net/article/83402580bbaa18159947bc1958d0eb7d

<糖尿病や喘息を持つ方と新型コロナ感染>

下記に示したACE2の発現は、糖尿病を持つ方では発現が増えていると報告されています。喘息を持つ方の発現は必ずしも増加していませんが、逆に、吸入ステロイドを使っている方では、ACE2やTMPRSS2の発現が低下していると報告されています。

なお、降圧薬であるACE阻害薬やARBでは差はありませんでした。

https://www.atsjournals.org/doi/abs/10.1164/rccm.202003-0821OC

<鼻腔の細胞から新型コロナが侵入する可能性>

新型コロナウイルスのSARS-CoV-2は、ACE2遺伝子などを介して人に感染します。その遺伝子は、上気道よりも、鼻腔に存在する上皮細胞に多く発現していることが示されました。また、TMPRSS2というセリンプロテアーゼという酵素も、SARS-CoV-2の感染には必須とされていますが、鼻腔の上皮細胞では、ACE2が発現している細胞にのみTMPRSS2が発現しているとのことでした。

https://www.nature.com/articles/s41591-020-0868-6

<50~70歳の少なくとも1%で新型コロナ既感染の可能性>

大阪市立大学からの報告では、新型コロナ感染症以外で外来受診された方の血液検査を実施したところ、50~70歳(中央値66.5歳)を中心に、約1%の方が新型コロナウイルスに対する抗体を持っていたとのことです。

一方で、ニューヨークでは、13.9%が抗体検査陽性であったと報告されています。歌手のマドンナさんが抗体陽性であったことでも知られています。

対象者を変えることで、抗体の陽性率は大きく異なる可能性があります。

<PCR検査をいつすべきか?>

日本では、PCR検査を受けられたとしてもそれまでに時間がかかります。それでは、いつPCR検査をすると検査は陽性になるのでしょうか?

中国からの報告(Nature Medicine)では、PCR検査では、ウイルス量は発症直後に最も多く、おおよそ21日後に検出されなくなります。年齢や性別、新型コロナの重症度には関係なかったとのことです。別の研究では、発症から8日後には、排出されるウイルス量は著明に低下することが示されています。

また、2次感染をきたす世代時間の平均は5.8日、中央値は5.2日で、発症までの潜伏期間が5.2日であったことから、新型コロナが発症する2日前から新型コロナの感染性が出現し、0.7日前(ほぼ1日前)には最も感染性が高くなることが示されました。つまり、私たちは、発症する前に知らないうちに最も強く他人にウイルスをうつしていることになります。本論文では、特別な計算で、発症後の接触者の90%を追跡できたとしても、感染病防御に成功しないことが示されました。

https://www.nature.com/articles/s41591-020-0869-5

日本のようなクラスター感染対策のみを行っていても、またPCR検査が遅くなること・しないことは、国民の感染の広がりを抑えることには繋がりません。結局のところ、Stay Home週間などと、外出制限をすることで感染の広がりを抑えていることになります。

<新型コロナと家族内感染>

シンガポールから、家族に新型コロナがうつる経過が報告されました。

家族の誰かが新型コロナを発症すると、他の家族にうつす(新たに発症する)までには3~8日かかるとのことです。症状は、88%で発熱、82%で咳、47%で咽頭痛が認められたとのことです。また、胸部X線で肺に異常陰影が認められた割合(入院患者)は、約半数の53%でした。症状発現から入院までの期間は約4日でした。

https://linkinghub.elsevier.com/retrieve/pii/S0140-6736(20)30528-6

<新型コロナとエアコン>

エアコンにも注意が必要かもしれません。

中国のレストランで発生したクラスター(感染者集団)の形成に関して、エアコンが要因になったと報告されています。ある家族は、エアコンの吹き出し口付近に座っており、エアコンの気流に当たっていたため、飛沫感染を受けやすかったとのことです。

したがって、テーブルに座るときはお互いの距離を保つことも重要ですが、エアコンの気流が直接当たらないようにしたほうがいいかもしれません。

だんだん暑くなってきます。クーラーや扇風機の風にも気をつけましょう。

https://wwwnc.cdc.gov/eid/article/26/7/20-0764_article

なお、御所南はらしまクリニックでは、ウイルスを除去し、飛沫感染を防ぐ空気清浄機をフル回転させています。オゾンも発生させ気流で流しており、むしろ安心・安全です

<N95マスクのアルコール消毒は禁忌>

高血圧を仙台医療センターの西村秀一先生、メディアジャパンの阪田総一郎先生からの緊急報告です。

マスクを消毒し、再利用することが一部報告されましたが、今回の検討ではアルコール消毒によってマスクの性能は劣化するというものでした。とくにN95マスクの劣化は著しく、サージカルマスクより劣っていました。N95マスクは連続使用が良く、8時間連続でもほぼ劣化なしとのことでした。

サージカルマスクも、UVでの処理の方がアルコール消毒よりも成績はよかったようですが、何度も消毒をするのは避けた方がいいでしょう。また、マスクをしたまま走るのはウイルス透過率が高くなり危険といえるようです。

<降圧薬と新型コロナ>

高血圧を有する人は、新型コロナウイルスに感染すると重症化しやすいことが報告されています。その理由として、新型コロナウイルスが細胞に侵入する際、ACE2受容体という、高血圧にとっても重要な分子を利用することが挙げられました。当初、誤解があり、欧米では、新型コロナの重症化を恐れて降圧薬、とくにアンギオテンシン系薬剤を中止する人がでてしまいました。

しかし、今回の報告では、アンギオテンシン系薬剤は新型コロナの重症化に影響を及ぼさないこと、あるいは、同薬剤を継続することで急性肺傷害/急性呼吸窮迫症候群のリスクを低減させる可能性が述べられています。

したがって、高血圧症の方は、くれぐれも降圧薬は中止することなく、継続していただくことが重要です。

https://www.medscape.com/viewarticle/927952

<新型コロナでもマスク着用は推奨される>

マスクを着用すべきかどうか、専門家の間でも意見が分かれています。

米疾病対策センター(CDC)は一般市民のマスク着用を推奨していますが、世界保健機関(WHO)は推奨していません。今回のBMJの論文では、マスクを着用することで、少なくともインフルエンザ様疾患の感染率を低下させたことや、ウイルスが含まれるエアロゾルからの感染をサージカルマスクで防げたとのことで、公共の場ではマスクの着用を推奨すべきとしています。

マスクは、家の中や外を問わず、他人と会う場面では着用した方がよいようです。

https://www.bmj.com/content/369/bmj.m1435.long

<新型コロナウイルスの流行は夏になると収まるか?>

今回の報告からは、気温や湿度が上昇しても感染者数が減ることはないと予想されています。例えば、夏を迎えていたオーストラリアや、暑いイランでも、感染が急速に広がっています。実験的には、気温が高くなり湿度が上昇すると新型コロナウイルスの生存期間は短縮するようですが、人から人への感染は、必ずしも少なくなるとはいえないとのことでした。

http://erj.ersjournals.com:4040/cgi/pmidlookup?view=long&pmid=32269084

<新型コロナウイルスに感染した妊婦さん分娩>

分娩の3日前から発熱し、新型コロナウイルスに感染した34歳の妊婦さんの出産例が報告されています。新型コロナウイルスに感染していることは、分娩経過中に判明しました。分娩後24時間で、新生児の新型コロナウイルスは陰性でした。分娩後6日目になっても、新生児に新型コロナウイルス感染症の徴候は認められず退院となっています。

https://www.nejm.org/doi/full/10.1056/NEJMc2007605?url_ver=Z39.88-2003&rfr_id=ori%3Arid%3Acrossref.org&rfr_dat=cr_pub%3Dpubmed

<新型コロナウイルスの感染性>

簡易版を作成しました。ご自由にお使いください。

<マスクの洗浄>

下記、新型コロナウイルスの安定性の報告によると、さまざまな消毒剤で一定の効果が認められています。

下記の希釈濃度を参考にし(説明書に記載している濃度でよい)

1)15分以上つける

2)軽く押し洗いする

3)水道水でしっかりすすぐ(飛び散らないように注意)

4)水気をきって、しっかり乾燥させる

漂白剤を使うと最も効果的ですが、臭いが気になると思いますので、すすぎを優しくしっかり行い、しっかり乾燥させましょう。

<新型コロナは蚊からうつるか?>

これから夏に向けて、蚊など虫に刺されることで新型コロナウイルスに感染するのではないかと気になるところです。

しかし、WHOによると、インフルエンザなどと同じように、新型コロナウイルスは蚊からはうつらないとのことです。唾液や鼻水などの飛沫感染が主な伝播の原因です。ただし、新型コロナウイルスは、ステンレスやプラスチックでは72時間生存するとされています。また、涙や尿からも感染するとのことです。手袋の着用や、トイレのお掃除など、常日頃からの清潔操作を心がけることが必要です。

https://www.who.int/emergencies/diseases/novel-coronavirus-2019/advice-for-public/myth-busters

<免疫力を高める食品>

新型コロナウイルス感染症にも役立つ食品は、アメリカCNBCからは、下記の摂取が推奨されています。

赤ピーマン、ブロッコリー、ひよこ豆、いちご、ガーリック、マッシュルーム(きのこ)、ホウレンソウ、ヨーグルト、ヒマワリの種

<嗅覚・味覚障害が出現したら>

日本耳鼻咽喉科学会は、味や臭いに異常を感じた場合は、2週間は自宅で待機するようにとの対応法を公開しました。

なお、嗅覚や味覚の異常は、鼻・副鼻腔腫瘍、副鼻腔炎、亜鉛欠乏症があり、発症して2週間経っても症状が変わらない場合は、受診が必要になります。

<涙から感染する可能性>

新型コロナ感染症の初期症状として、味覚や嗅覚の異常だけでなく、結膜炎があると報告されました。つまり、涙を介して感染が広がる可能性があります。

目をこすったり、その手で人に触れたりすると感染を広げる可能性があります。定期的な眼科受診の場合も、まずはかかりつけの眼科の先生にご相談ください。緊急性を除いては、定期受診を少し延ばしてもいいかもしれません。

https://jamanetwork.com/journals/jamaophthalmology/fullarticle/2764083

<コロナストレスに対処する11ヵ条>

日本うつ病学会から、新型コロナウイルス感染症に対するメンタルヘルス維持に関する国際学会の11ヵ条翻訳され、発表されたとのことです。

1)毎日のルーチンワークを設定する

2)毎日同じ時刻に起床する

3)毎日一定時間を、屋外で過ごす(午前中に日を浴びるという意味です、3密は避けましょう)

4)外出が困難な場合は、窓際で日光浴をする

5)毎日行っている活動は、時間を決めて行う

6)毎日運動する(室内で出来る運動でよいでしょう)

7)毎日、同じ時間に食事をする(栄養価の高い食事にしましょう。量ではありません)

8)人との交流を図る(外出でなく、電話やリアルタイムなチャット)

9)昼寝は避ける(寝ても30分以内にしましょう)

10)夜間の明るい光は避ける(とくにブルーライト)

11)起床と就寝時刻を決める(自分に合った時間でよい)

<無症候者でも胸部CT異常が見つかる>

クルーズ船ダイヤモンド・プリンセス号のPCR陽性者で、37.5℃以上の発熱、咳嗽、呼吸困難、倦怠感のいずれも認めなかった新型コロナ感染者のうち、54%に胸部CT画像で異常が認められたとのことです。

感染者に接触した方やクラスター感染に遭遇した方は、感染症専用電話相談口に連絡し、適切な指示を受けた方がいいでしょう。

https://pubs.rsna.org/doi/10.1148/ryct.2020200110

<妊娠と新型コロナ>

妊娠中に新型コロナにかかっても、妊娠していない同世代の方と重症度は変わらず、妊娠の経過にも悪影響は及ぼさないと考えられています。

また、新型コロナに感染した新生児が重症化しやすい事実には乏しいようです。

新型コロナウイルスは、羊水、母乳からは検出されていません。

https://www.ajronline.org/doi/full/10.2214/AJR.20.23072

https://els-jbs-prod-cdn.jbs.elsevierhealth.com/pb/assets/raw/Health%20Advance/journals/ymob/43_COVID_040320-1586192348270.pdf

https://jamanetwork.com/journals/jamapediatrics/fullarticle/2763787

https://www.cdc.gov/coronavirus/2019-ncov/need-extra-precautions/pregnancy-breastfeeding.html?CDC_AA_refVal=https%3A%2F%2Fwww.cdc.gov%2Fcoronavirus%2F2019-ncov%2Fprepare%2Fpregnancy-breastfeeding.html

<喫煙と新型コロナ>

喫煙者は非喫煙者に比べ、重篤な症状をきたすリスクが1.4倍高く、ICU入室の可能性、機械的換気、死亡率は2.4倍高かったことが、系統的レビューにより示されています。

http://www.tobaccoinduceddiseases.org/COVID-19-and-smoking-A-systematic-review-of-the-evidence,119324,0,2.html

<内視鏡検査について>

日本消化器内視鏡学会から、緊急性の低い胃カメラなどの内視鏡検査は延期をするようにとの連絡がなされています。それを受け、当院との連携先である各病院での内視鏡検査は、緊急性を除き、当分の間延期します。ご了承ください。

<レムデシビルの有用性>

エボラ出血熱の治療薬として開発されましたが、新型コロナウイルス感染でも68%で症状が改善したと報告されています。ただし、通常の治験とは異なり今後、無作為化試験が必要とのことですぐには使えません。

https://www.nejm.org/doi/full/10.1056/NEJMoa2007016?query=RP

<入浴と風邪>

38℃以下の発熱で、体調がそれほど悪くなければ、40℃のお風呂に入ることは却って風邪などからの回復を早めます。

ただし、心疾患や高血圧、糖尿病など基礎疾患のある方は医師に相談してください。長時間の入浴も避け、入浴後は髪の毛などよく乾かし、すぐに寝ましょう。

<衣類や食器の管理>

厚生労働省は、衣類や食器などは、通常の選択や洗浄でよいとしています。ただし、しっかり乾かすことが重要です。

https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/dengue_fever_qa_00001.html#Q15

また、新型コロナ感染の可能性がある場合は、SARS(同じくコロナウイルス)では、熱湯消毒(80℃、10分以上)し、その後洗濯機にかけることが推奨されていましたので、同様の処理が効果があると考えられます。

<次亜塩素酸ナトリウムの活用>

物の表面の消毒には、0.1%の次亜塩素酸ナトリウムが有効です。アルカリ性が強いので、偏食や腐敗を防ぐため、拭いた後は水拭きしてください。

作り方は各メーカーの使用方法を参照してください。例えば、キッチンハイターであれば、01%の液を作る場合は、水1リットルにキャップ2杯(50mL)となります。

https://www.kao.com/jp/soudan/topics/topics_107.html

*手指や目の消毒、食品の消毒には使わないでください。

<手袋の活用>

ニューヨークや諸外国では、使い捨て手袋が活用されています。新型コロナウイルスは接触感染しますので、手袋の活用は有効です。米国国立衛生研究所は、新型コロナウイルスは、ステンレスやプラスチックに付着した場合は最大で72時間生存するとしています。

https://www.nih.gov/news-events/news-releases/new-coronavirus-stable-hours-surfaces