小児神経・発達相談

Child neurology & Development

子どもの発達

開院後、登校や学習に関するご相談が増えています。
<登校したがらない>など、ご相談内容によっては、まずはあせらずしっかり休息をとるようにおすすめしていますが、ご相談いただいた時点で、お困りごとが生じて時間が経過していることも多く「体になにか問題があるのではないか」「このままでは勉強についていけなくなってしまう」「ネットで〇〇〇という情報をみたが子どもの症状に似ていると思う」「発達障害だと思う」など心配され子ども含め家族がすでに疲弊されていることも少なくありません。
ご心配事がある場合は、一人で悩まず、まずはご来院ください。

代表的な症状・疾患

熱性けいれん

生後6ヶ月ごろから就学前の子どもが、風邪などで発熱(通常38℃以上)したときにけいれんを起こします。
日本のお子さまの5%~8%が経験するもので稀な病気ではなく、また半数の方が1回のみです。
けいれんをおこしたときは、慌てず、襟元を緩めて呼吸をしやすい状態にし、嘔吐することもありますので顔を横に向けておきます。大半は数分から5分以内(約8割は10分以内)にとまり、意識が回復してそのまま寝てしまいます。
「けいれんが5分以上続くとき」「1歳までの乳児けいれん」「けいれんの後に意識障害長引く」「けいれんに左右差がある」時は、熱性けいれんではないこともありますので、早めの受診をおすすめします。
けいれんが5分以上続いているときは、速やかに医療機関を受診してください
熱性けいれんを繰り返すお子さまはジアゼパム座薬を使った予防投与を行います。熱がないのにけいれんを起こしたときは、熱性けいれんではなく、てんかんなどほかの病気が疑われます。
けいれん時の様子を説明することは難しいものです。お手元のスマホなどで、全身を動画で撮影していただくと後からみても状態がよくわかりますのでおすすめです。

頸が座らない、歩行の遅れ、ことばの遅れ、など

乳幼児期は、心身ともに著しく発育発達する時期ですので、その成長を見守るご家族にとっても楽しみな時期ではないでしょうか。
子どもの発達は個人差があるため、インターネットや育児書の情報、まわりのお友達と比べて、気になることもあると思います。
何か気になることがある、今までできていたことができなくなった(笑顔が少なくなった、会話が少なくなったなど)などあれば、お気軽に当院までご相談ください。

お友達と上手に遊べない、切り替えができず集団行動ができない、こだわりがつよい、多動でおちつきがない、勉強が極端に苦手、など

人それぞれに個性があるように、脳の発達も一人ひとり違います。
コミュニケーション能力や社会性に関連した脳の領域に機能的な弱さがある場合、言葉の発達の遅れ、コミュニケーションの障害、対人関係・社会性の障害、パターン化した行動やこだわりを認めます。

自閉スペクトラム症

赤ちゃんのときには、あやしても笑わない、また視線が合いにくいと周囲が気づくことがあります。
保育園や幼稚園など集団に入る時期には、一人遊びが目立ち集団行動ができないといった指摘を受けることがあります。
就学後には、同年代のお子さまとの対人関係、集団行動、学習のつまずきがみられるようになります。

知的発達症

年齢、性別および社会文化的背景を同じくする仲間と比べて、知的機能全般に弱さがあります。

注意欠如・多動症

年齢または発達に合わないレベルの不注意、多動性・衝動性を家庭や学校など複数の場面で認められ、社会活動、学校生活や家庭生活においてお困りが生じます。

限局性学習症

知的な発達は年齢にみあっており、視覚、聴覚および運動能力にも大きな問題がない、生育環境や教育環境もよく本人にもやる気があるにも関わらず、学力が身につかない。
おもに、読み・書き、計算の弱さがあります。

発達性協調運動症

協調運動(手と足、目と手など別々の動きを一緒に組み合わせて行う運動)に弱さがあるため、ボールを蹴ったりキャッチしたりといった動作がうまくできない、極端に手先が不器用であるといった特徴があります。

チック・トゥレット症

まばたき、目や鼻を動かす、咳払い、鼻を鳴らすなど勝手に声や動きがでてしまう症状・病気です。
幼児期に発症、良くなったり悪くなったりしながら10歳台前半にピークを迎え変動しながら軽快していきますが、成人まで症状が続く場合もあります。
昔、チック症は育て方の問題や本人の心の弱さのためと言われたこともありましたが、現在は脳の中の運動にかかわる部分の機能が発達の途中でアンバランスになっているためと考えられています。
DSM-5(米国の精神医学会の診断と統計のマニュアル)では自閉症スペクトラム症、注意欠陥多動性障害、学習障害などと同じ神経発達症に含まれています。
チック症状は止めようと思ってもすべての症状をコントロールすることはできません。
チック症状が強くでるときは、家庭や学校など集団生活のなかで困ることがあります。家庭や生活でどのように対応すればよいかアドバイスを行ったり、経過により薬物療法をすすめ、うまく症状とつきあっていくことができるようにと考えています。

実例紹介

Case01

お困りごと

  • 朝起こしてもなかなか起きないので遅刻する
  • 学校の準備を朝するので集合時間に間に合わない(夜のうちに準備をするように言うがやらない、忘れ物も多いのでよく叱られている)
  • 登校前になるとおなかが痛くなるので遅刻したり休んだりする
  • 授業中に頭が痛くなる、めまいもする
  • 学校にいきたくない、学校にいきたいと思わない
  • 最近元気がなく、学校に行きたがらない
  • 学校にいっても勉強がわからないから楽しくない(給食と休み時間は楽しい)
  • 漢字が覚えられない、ノートの字が汚くて読めない、計算が苦手
  • 髪の毛をいつもいじっている、髪の毛を抜いてしまうのでそこらに毛がちらばっている
  • 走った後にせきがでるので体育がいや

ここにあげたようなことが続いたとしたら「困ったな」「どうすればいいのかな」と心配になります。

経過

朝起きることができずに遅刻する 中学2年生男児

痩せ型だが発育に問題なし。
もともと暑い時期に調子が悪い。起立試験を行ったところ心拍数の増加があり、起立性調節障害(体位性頻脈症候群)と考えられた。不規則な生活を改めること、水分や塩分摂取を指導したところ次第に倦怠感は改善したが、朝起きるのに何度も声掛けが必要である、午前中にぼんやりして授業に集中できずに困る。
本人、家族と相談のうえ、生活改善を継続しながら薬物治療を行った。
以前は学校を休むこともしばしばだったが、体調がよくなり休むことがなくなった。

漢字がおぼえられない 小学4年生女児

勉強は苦手だが友達がいるので学校は楽しい。
保育園で多動を指摘され小児科で相談したことがある。
担任から授業中によく窓の外を見ている、注意力散漫であると指摘された。
発達歴を確認、レーブン色彩マトリックス検査、人物画から知的面に大きな遅れはなさそうだった。
MSPA検査から不器用さ、不注意、多動、衝動性、学習に関して支援を要すると考えられた。
読み書きスクリーニング検査にてカタカナ、漢字に弱さがあった。
さらに発達検査をすすめ、注意欠如・多動性障害、学習障害であることがわかった。
家族の了承をえて担任に情報提供を行い、心理療法、薬物療法、読み書きの練習を行っている。

走ったあとに咳がでるので体育の時間がいや 小学2年生男児

保育園の頃から風邪をひくと咳がよくでて治りがわるかった。
小学生になってからは発熱で休むことなく元気だったが、ひさしぶりに発熱、咳がでたので受診した。
喘息発作があり吸入、内服でしだいに楽になったが、再診時に上のような訴えがあった。
春に鼻炎や目のかゆみもある。気管支喘息、季節性アレルギー性鼻炎として治療を行っている。
体育はやっぱり苦手だが、以前よりはきつくないかなとのこと。

原因は人それぞれ

当院はお子さまと親御様に寄り添う診療を行います。

学習や登校に関連した同じカテゴリーに属するお困り事であるようにみえても、その要因はさまざまであり、必要な治療や支援も異なります。
このような問題に関しては検査がすべてではありませんが、必要なときには各種発達検査、起立試験などを行い対応させていただいております。
すぐに解決することは難しいですが、まずはご相談いただくか、何かできることがあるのか考えてみるところからはじめてみませんか。

*月・火・木・金 14:00から15:00に予約枠をもうけております。ネット予約も可能です。
*当院ではコンサータ、ビバンセの処方が可能です。