お知らせ

INFORMATION

食塩およびカリウム摂取と心血管イベントとの関係

日本人は比較的食塩感受性がある民族とされ、高血圧全体の30~40%が食塩感受性高血圧といわれています。食塩摂取の制限は、「高血圧診療ガイドライン2019」では6g未満が推奨され、また、高血圧でない一般成人では男性8g未満、女性7g未満が目標値とされています。しかし、WHOは、2012年に5g未満を推奨しており、日本人の食生活では実現困難な目標が定められています。

しかし今回、食塩摂取量と心血管イベント発症との関係では、Jカーブを示す結果が報告されました。さらに、カリウム摂取と食塩摂取の両者を組み合わせ、心血管イベント発症との関連を示しています。バングラディッシュ、ジンバブエ、アルゼンチン、ブラジル、チリ、マレーシア、ポーランド、南アフリカ、トルコ、中国、コロンビア、イラン、カナダ、スウェーデン、パレスチナ、アラブ首長国連邦の35~70歳、103570人が参加し、103200人のデータが解析されましたが、41.8%が中国人でした。

平均観察期間は8.2年、平均の食塩摂取量は12.4gでした。まず食塩摂取単独の解析では、10.2~12.7gの食塩摂取の群と比べると、7.6g未満群ではハザード比1.19、17.8g以上群では1.23と高くなりました。また、食塩7.6g~12.7gにカリウム摂取が1日2.1g以上が組み合わさると更に心血管イベント発症が低くなる結果が得られました。

厳格な塩分制限がいいのか、適度な塩分摂取にカリウムを十分摂取する方がよいのか(腎機能低下のある方は注意)、今後の研究の積み重ねが待たれます。